耐食性と作業性に大きな違いがあります。
溶融亜鉛めっきには「保護皮膜作用」と「犠牲防食作用」という2つの大きな特徴があります。(詳しくは溶融亜鉛めっきの特徴を参照してください。)塗装の場合、下塗り・中塗り・上塗りなど塗装工程が多く、乾燥時間を待つ間製品を移動できないとか、施工中にキズが生じないように特に慎重に扱う必要があります。
亜鉛めっき製品はその分、亜鉛めっき工場から納品されれば直ぐに移動させる事ができ、犠牲防食作用で多少の擦りキズでさびが発生する心配が少ないです
亜鉛アルミニウム合金めっきは最純亜鉛から成る亜鉛めっき浴(1浴目エコZ)でめっきを行った後、亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金浴(2浴目AZ)でめっきする2浴法で施工しますので価格についてはコストアップとなりますが取扱い等は亜鉛めっきと変わりません。
亜鉛アルミニウム合金めっきの特長として耐食性は極めて優れています。促進試験である塩水噴霧試験においては亜鉛めっきは約1000時間で赤錆が発生しましたが、AZ合金めっきでは10000時間でも赤錆の発生はありません。AZ合金めっき資料
めっき皮膜は硬く、耐摩耗性・密着性に優れており、亜鉛めっき同様に犠牲防食作用が働きます。
表面外観は亜鉛めっき皮膜に比べ光沢は低く銀白色、灰白色となっておりますがヤケ発生ではありません。
また灰白色から灰黒色へ変化する性質もあります。また合金めっき特有現象(変色・模様等)もありますが、耐食性は問題ありません。
亜鉛アルミニウム合金めっきを施工する条件として亜鉛めっきを施工する為の亜鉛抜き孔並びに空気抜き孔より孔径を大きくして頂く必要がありますので不明点が御座いましたら当社へお問合せ願います。
2021年12月20日より溶融亜鉛めっきのJIS規格(JIS H 8641及びJIS H 0401)が改正されました。
<主な改正内容について>
・めっき皮膜の規定が【付着量(g/㎡)】から【膜厚(μm)】に変更となり、めっきの種類記号が変更されました。(1種・2種の区分けが無くなり、7種類となります)
・規格の記号表記は「HDZ」から「HDZT」に変更となりました。
・試験方法は電磁式膜厚計による膜厚試験となり、付着量試験は膜厚試験が困難な場合のみ適用となります。
・密着性は外観の品質に包含され目視による検査に変更となりました。
(ハンマ試験による密着性試験が廃止されました)
尚、溶融亜鉛アルミニウム合金めっきのJIS規格(JIS H 8643)は2019年11月20日に規格化制定されました。
亜鉛めっきの断面は、亜鉛と鉄との反応で形成された合金層と合金層の上に付着する亜鉛層の二つの層から成り立っています。この合金層が鉄地と固く結びついているため、塗装と比べると格段に密着性が優れています。
大気中の耐用年数について、過去の暴露試験を参考にすると亜鉛の腐食速度と、亜鉛の付着量から次の式のように計算できます。
亜鉛めっきの付着する白色の粉(塩基性炭酸亜鉛化合物など)のことを一般的に白さびといいます。
白さびは、亜鉛酸化被膜が形成されていない亜鉛めっき層表面に付着した水分が、長い間付着したままで乾燥されない場合に発生します。ただし、白さびによる亜鉛の減量はめっき膜厚約80μmに対して1μm以下と非常に少ないもので防錆・防食機能に影響を与えることはありません。
めっき直後での光沢の差は「やけ」という現象によって起こります。
「やけ」とは合金層がめっき表面に露出した状態で、艶消しや灰色になったり、暗灰色になる状態をいいます。「やけ」は形状によるものと、材質によるものの二つの原因があります。
亜鉛めっきによる歪みの矯正は、山形鋼、溝形鋼、H形鋼、鋼管などのような単純な形状の構造であれば、長さ方向に湾曲の歪みが発生しても、矯正機でほとんど完全に歪みを取ることができますが、溝形鋼やH形鋼などのねじれなど、複雑な歪みを矯正することは困難であります。
溶接構造物で比較的単純な構造で、しかも単純な歪みであればプレス機で矯正することができますが、一般的にはめっき後、歪みを矯正することは困難です。
歪みの原因と対策について
歪みの原因
■ 鋼材の残留応力によるもの
熱間加工時に生じた歪みを冷間加工で矯正すると、残留応力が生じる場合があります。めっき時の加熱によりこの残留応力が解放されて、もとの状態に戻ろうとするため、歪みを生じることとなります。
■ めっき工程で生じる部材の局部的温度差によるもの
めっき浴への浸せき、引き上げ、水冷などの時に部分的に急激な温度差を生じることは避けがたく、この時の熱膨張速度の差による一時的な変形が永久歪みとして残る場合があります。
歪みに対する主な対策
めっきを施す部材の形状・加工方法等とめっきによる変形の状況について取りまとめると次のようになります。
- 素材の肉厚の異なった組合せはできるだけ避け、めっき後ボルト接合とするのが望ましい。
- 使用する部材は左右対称な形状のものが歪み発生は少ない。
- 曲げ加工はできるだけ曲率半径を大きくした方が変形が少ない。
- 溶接は連続溶接の方がスポット溶接より変形が少ない。また突合わせ溶接の場合は同一溶接条件で両面から溶接した方がよい。
- 箱型品は、めっき時のガスや溶融亜鉛の流入・流出が容易なように、開放部や穴をできるだけ大きくする。めっき浴より引上げ途中、すくい上げられた亜鉛の重量や、品物の自重によって歪みが発生する場合がある。
非めっき個所を意図的に作り、部分的にめっきする事が可能です。
■ ねじ付部材を非めっきにする方法
非めっき個所を作る場合はあらかじめ打合せを行います。非めっき個所に対し、非めっき剤を所定の条件で製品に塗布、または接着し、溶融亜鉛との接触しない方法でめっきを行い、非めっき面の確保は、完全とまでいかなくとも、ほぼそれに近い程度に確保できます。めっき後は炭化した塗料かすなどが付着しているので、グラインダー等で除去して仕上げます。非めっき剤は乾燥時間を必要とするので、搬入前に塗布している事が望ましいです。
■ 非めっき剤を塗布する事による方法
めっきする部材にボルト・ナット・ソケット等が溶接されている場合、ねじ部に亜鉛がたまってしまいますので、ナットやボルトのねじ部に非めっき剤を塗布します。ボルトがナットより出た場合はその部分も非めっき剤を塗布します。
非めっき処理された製品